ひとくち伝言 平成12年1 月





梵音海潮音  謹賀新年

平成十二(庚辰<かのえたつ>)閏年
西暦二〇〇〇年、仏紀二五六五年
元 旦


 日頃のご厚誼を感謝し、新年のご挨拶を申し上げます。今年も、皆々様のお門にはなお一層のご健勝、ご清栄の光が射し込みますよう、ご祈念申し上げます。

 「コンピュータ 越すに越されぬ 二千年」という川柳を面白く拝見した覚えがあります。まさに今、世界中が固唾を呑み、無事に年越しができるかを見守っているという、希有な年明けとなっている模様であります。しかし、それは人間がコンピュータの手なずけ方をしくじっただけの話で、仮に多少の不便や混乱が生じたとしても、時の流れそのものが損なわれるものではありません。今年も変わらずに、しっかりとお正月様が来てくださることのありがたさをかみしめて、心より「新年とにかく明けまして、本当におめでとうございます」と、申し上げたく存じております。

 昨年はミレニアム(千年間、至福千年)という耳慣れない言葉が急に飛び出し、話題となりました。それは西暦、つまりグレゴリオ暦を生み出したキリスト教の中では、きっと特別な意味で語られる言葉なのだと思います。しかし、地球上のすべての人が今年を二千年目と思っているわけではなく、平成ならば十二年、仏暦では二五六五年ですし、調べた所では、イスラム暦なら二六六二年、ユダヤ暦では五七六一年に当たっているようです。皆それぞれ、自分たちにとって最も大きな意義のある出来事を紀元として、歳月を計っているわけであります。してみると年号というのは、あたかも滔々と流れる大河の水に、それぞれ持ち前の「万年筆」でインクの染みを付けているようなものなのではないかという思いがいたします。
 世の中には色々な「時間」があるものです。仏教の歴史観は、「無始よりこのかた」と言い、「未来際を尽くすまで」と言って、世界の初めと終わりを説きません。仏暦で何年と数えるのも、おそらく西暦に影響された結果であって、インドには全く異なる時間の物差しがありました。例えば「億劫(おっくう)」などという言葉が我々の日常にも使われますが、その「劫」(こう=カルパ)というのは、あのインド人しか考えつかないような時間の単位なのであります。
 どんな時間かというと、こうです。縦・横・高さともに一里ある岩盤があったとしましょう。そこへ百年に一度だけ天女が降りてきて舞いを舞うとします。すると天女の羽衣の裾が岩の表面をなでて、かすかに岩がすり減るはずであります。それが何度も繰り返され、とうとうその岩盤が無くなってしまうまでの時間、それが一劫(いちこう)であると説明されています。(おそらく「寿限無」の中の『五劫のすりきれ』は、これを踏まえていると思われます)。こんな気が遠くなるような悠久の時間の中では、人の一生も王朝の盛衰も、千年だろうと二千年だろうと消し飛んでしまいそうなほど、とてつもない時間の感覚です。
 ともすれば、山の手線のどっち回りが早いかと悩むような、さもしい時間感覚に落ち入りかねない我々、いや、私ですが、二千年などよりはるかに大きな大きな時間に向き合うことも大切なのではないかと思う、今年のお正月であります。

 どうぞ豊かな「時」に恵まれ、心身ともにおすこやかで良い一年になりますように念じ上げます。 合掌
百観音明治寺 住職 草野榮應







   ひとくち伝言板   


平成12年(仏紀2565年)の行事ご案内

(毎月十七日の月例法要は、午後一時から)


 一月一日  (土)  修  正  会 (元朝護摩供)
 一月十七日 (月)  初観音大護摩供 ならびに 開基 榮照法尼 忌
 二月三日  (木)  節分祭・星まつり (午後二時より)
 二月十五日 (火)  常  楽  会 (釈尊命日・涅槃会)
 二月十七日 (木)  月  例  祭
 三月十七日 (金)  春彼岸 大施餓鬼会
 四月八日  (土)  降  誕  会 (花まつり)
            (予定 花まつりコンサート・チェンバロの夕べ)
 四月十七日 (月)  月  例  祭
               ならびに 開山 密信大和上 忌
 四月二十九日(土)  慈音会・多宝塔供養祭
 五月十七日 (水)  月  例  祭
 六月十七日 (土)  月  例  祭
            (七月初旬より お盆棚経)
 七月十七日 (月)  盂蘭盆 大施餓鬼会
 七月三十日 (日)  予定  百観音献灯会 (夕方六時より)
 八月十七日 (木)  月  例  祭
 九月十七日 (日)  秋彼岸 大施餓鬼会
 十月十七日 (火)  月  例  祭
 十一月十七日(金)  月例大祭 大護摩供
               ならびに 境内石仏総供養
 十二月十七日(日)  月  例  祭 (納めの百観音法要)

           *      *       *

その他の月例行事(変更もありますので、ご確認ください。)
 第一日曜日   午前九時より 写経の会
          (小筆一本お持ちになれば結構です)
      *一月のみ第二日曜日(一月九日)となります。*
 毎月六日    午後一時半  法話の会(肩の凝らない法話のつどい)
 第二・四水曜日 午後六時半  坐禅の会(静寂の時を味わう坐禅の会)






東京都中野区沼袋二ノニ八ノ二〇
百観音明治寺 草野榮應