ひとくち伝言 平成12年4 月(109号)





 「桜の開花宣言」がニュースで報じられることが恒例になっています。気象庁という政府当局のひとつが、重々しくも桜の開花を宣言するという国が他のどこにあるだろうと思うと、日本は面白い国だなあと思います。やはり桜の時期こそ、私たちは季節というものに一番深くつながっているときなのかも知れません。そして桜といえば、西行法師の歌を思い出します。

  願はくは花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月のころ

 きさらぎ(如月)は旧暦二月のことです。望月の頃とは満月の十五日頃ということですから、二月十五日、つまりお釈迦様の涅槃の日を指していることになります。昨年の旧暦二月十五日は四月一日(今年は三月二十日)ですから、なんと涅槃の日は確かに桜の頃に当たるのです。暦の違いを意識して読むと、まったく違った世界が立ち現れてきます。西行さんは桜の上に満月も欲するただの風流人ではなくて、やはり求道者でもあったのですね。
 七月七日の夕方、公園で幼い女の子がしきりに空を見上げていました。枝に何かがひっかかったのかと尋ねると「天の川はどこ?」ときくのです。梅雨のさ中の、東京のくもり空を見上げてそう言われた時のせつなさといったらありません。でも、旧暦の七夕は大体八月中旬、今年は八月六日に当たります。それなら東京でも何とか天の川が見えそうな気のする時期です。その日は七日目の月、つまり上弦の月が必ずかかることになります。その半月の舟に乗って彦星が川を渡るのだというお話が、活きてくるわけですね。
 四十七士の討ち入りは師走の十四日、雪の日だったことになっています。東京では暮れにはあまり雪が降りませんから、昔はよほど雪が多かったのかと思っていましたが、新暦になおすとそれは一月末頃になります。それなら東京でも雪はめずらしくない頃で、なあんだそうかと納得が行きます。
 正月の年賀状にはしばしば「迎春」とあって、梅に鶯の図などがあるのが子供の頃は不思議でした。寒が明ける立春の前後に正月を迎えたなごりなんですね。だから昔の正月は、めでたさの色彩も今とは全く異なるものだったはずです。その頃になると、枯れ草色の野原にいち早くせりなずなの類が緑の葉を出します。人々は否応もなく、その貴重な青物の生命力を欲したのでしょう。七草も必要に迫られた風習だったと考えられるのです。
 暮らしに季節感がなくなったと言います。しかしそれは、私たちが生活の歳時記をむりやり新暦に押し込んで、季節とのつながりをすり替えたままできたからではないかと思います。素朴な疑問って、大切ですよね。


百観音明治寺 住職 草野榮應







   ひとくち伝言板   



平成12年(仏紀2565年)4月の行事ご案内

4月 2日(日) 午前9時より  写経の会

4月 6日(木) 午後1時半より  法話の会

4月 8日(土) 終日  花まつり(灌仏会…甘茶かけ)

4月17日(月) 午後1時より  百観音月例法要

4月12,26日(水) 午後6時半より 座りを味わう、坐禅の会


4月8日(土) お釈迦さま降誕会(花まつり)−終日−
  当日午後7時より

花まつりコンサ−ト/チェンバロの夕べ

曲目:J.S.バッハ:ゴールドベルク変奏曲/演奏:武久源造
(於 百観音本堂)




 皆様からのご協賛を感謝しております。土曜日なのでお出かけくださる方も多いのではないかと、喜んでおります。あとは桜が咲いて、お天気だけが心配……。

 協賛感謝録(3月27日までの分):田畑嘉子様、松丸芳子様、滝澤尚子様、谷原光枝様、渡辺百合子様、匿名様、飯田重平様、中村博幸様、宮内祥介様、 太田祐亮様、匿名様、魚田順子様、赤松由里様、村井国郎様、藤田美奈子様、 清水わか子様、小石知香子様、福嶋二三様、松本重夫様、高貴充輝様、松本善子様、笠木千束様、宇治知也子様、大久保三枝子様、牧原俊子様、水野皖司様、草野欣也様、高岡精司様、小山カズ様、光野裕子様、匿名様、仲間芳子様
 切手代感謝録:藤田様、杉浦様、魚田様
   両方ともに感謝申しあげます。

 丸山小学校の3年生から、観音さんのスケッチと手紙をもらいました。
 わたしは、はすの花のお話を聞いて、家に帰ってからお母さんに話したら、「へぇーそうだったんだ。知らなかったわ。」と言いました。
 大きな木の中に入ってみたら、すぽっと入って、中がすこしあたたかかったです。いっぱいおしえてくれて、ありがとうございました。(木村栞さん)
 十一面観音が十一面あるのはわかったけど、後ろには顔がなかった。ぼくは、かんのん様にピースをしたりまたいでしまいました。その後2回もばつをうけてしまいました。ここはどうなってんだ?と、ふしぎに思いました。(寺門章利君)
 この前は、いろいろなかん音さまを見せてくれてありがとうございました。私は十一面かん音さまをえらびました。どうしてかというと、ほかのかん音さまもよかったんですけど、十一面かん音さまが一番私にほほえんでくれたからです。こんどまた、かん音さまをみにいきたいです。(安田彩乃さん)




東京都中野区沼袋二ノニ八ノ二〇
百観音明治寺 草野榮應