ひとくち伝言 平成13年1月


普明照世間  謹賀新年
平成十三年(辛巳[かのとみ]) 元旦 


 新たなる光明のもと、皆々様にはお健やかな元旦をお迎えになりますことを念じ、新年のお喜びを申し上げます。本年もまた、日々に新たないのちを頂戴しながら精進してまいりたく存じます。
 
 南極観測船のたとえがあります。南極へ行く途中には暴風が荒れ狂う海域があり、観測船ふじはかならずそこを乗り切って行かなければなりません。観測船がそこで遭難しないのは何故かというと、「昭和基地へ行くのだ」という使命を担っているからだとみることもできます。もしも船が行き先を失ったらどうなるかといえば、たぶん木の葉のようにもみくちゃにされた挙げ句、どこかへ吹き流されてしまうに違いありません。一方は「困難」で済むけれども、他方は「災難」となってしまう、その違いは大きなことであります。
 新しい世紀が訪れました。しかし、経済の面でもこころの面でも、私共はなかなか厳しい状況に置かれているようであります。そんな中で、どんなことを指針として、この荒海を乗り切っていったらよいのかということを思うことがあります。
 明治寺を創建した先人方は、仏の智慧と観音の慈悲を目指す拠り所とせよと示しました。そして同時に「十善戒」という羅針盤を持たせてくれました。不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不綺語、不悪口、不両舌、不慳貪、不瞋恙、不邪見の十の徳目のことであります。人生の中で、色々な災いや困難に出会った時、自らの心のたたずまいを正すことは、船が重心を整えることに似ているかも知れません。十善戒とは、そのためのチェックリストなのであります。あらためて申し上げるまでもないと存じますが、この大きな節目にちなみ、現代語を当てて左記に掲げさせていただきます。
不殺生(ふせっしょう) いのち尊びて、あわれみふかく、我はあたたかき人とならむ
不偸盗(ふちゅうとう) 与えられざるものを、手にすることなく、我はひとの幸をもたのしまむ
不邪淫(ふじゃいん) 道ならざる愛欲をおかすことなく、我は正しき愛を守らむ
不妄語(ふもうご) 言葉貴びて、責任(せめ)をみださず、我は実語の人とならむ
不綺語(ふきご) 綺(かざ)り巧(たく)みて、つくろうことなく、我は素朴の人とならむ
不悪口(ふあっく) ののしりて、ひとをあなどらず、我は愛語の人とならむ
不両舌(ふりょうぜつ) 両舌して、ひとの交わりをさかず、我は和合の人とならむ
不慳貪(ふけんどん) ものを、おしみて、むさぼることなく、我は施しを念(ねご)う人とならむ
不瞋恙(ふしんに) いかりにくらみて、己を失わず、我は度量(ゆるす)人とならむ
不邪見(ふじゃけん) 因果の法則を疑ごうことなく、我は黙々として善(よ)きに精進(はげ)まむ
 明治時代の初め、新政府は仏教を排除しようとする政策を行ったため、一時日本仏教は存亡の危機に瀕しました。しかし雲照律師は、この十善の教えをかかげ、いかなる権力もこの「人となる道」を否定できないことを示し、廃仏政策の誤りを認めさせたのでした。十善の力が日本仏教そのものを護ったのであります。
 これからも、決して平坦な道ばかりが続くとは限らない二十一世紀であります。我々が困難な壁に突き当たった時、これら十善の教えに立ち返って自らの心の中心を確かめるならば、必ず活路が開けることでありましょう。
 今年も、皆様のお門に限りない福徳が射し込みますよう、念じあげます。合掌

百観音明治寺 住職 草野榮應













   ひとくち伝言板   

平成13年(2001年・仏紀2566年)の行事ご案内

・一月一日(月)修  正  会 (元朝護摩供)
・一月十七日(水)初観音大護摩供
ならびに 開基 榮照法尼 忌 
・二月三日(土)節分祭・星まつり (午後二時より) 
・二月十五日(木)常  楽  会 (釈尊命日・涅槃会)
・二月十七日(土)月  例  祭 
・三月十七日(土)春彼岸 大施餓鬼会
・四月八日(日)降  誕  会 (花まつり)
(予定 花まつりコンサート・チェンバロの夕べ)
・四月十七日(火)月  例  祭
ならびに 開山 密信大和上 忌
・五月十七日(木)月  例  祭
・六月十七日(日)月  例  祭
(七月初旬より お盆の棚経)
・七月十七日(火)盂蘭盆 大施餓鬼会 
・七月二十九日(日)予定  百観音献灯会 (夕方六時より)
・八月十七日(金)月  例  祭
・九月十七日(月)秋彼岸 大施餓鬼会
・十月十七日(水)月  例  祭
・十一月十七日(土)月例大祭 大護摩供 
ならびに 境内石仏総供養
・十二月十七日(月)月  例  祭 (納めの百観音法要)

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その他の月例行事
 (日時等変更になることもありますので、ご確認ください。)

第一日曜日   午前九時より 写経の会小筆一本だけお持ち下さい。
(*一月は七日(日)、二月は十一日(第二日曜日)に行います。)
毎月六日    午後一時半  法話の会(肩の凝らない法話のつどい。)
第二・四水曜日 午後六時半  坐禅の会(静かに坐りを味わう坐禅です。)




東京都中野区沼袋二ノニ八ノ二〇
百観音明治寺 草野榮應