ひとくち伝言 平成13年 献灯会編




 百観音献灯会の行事で、いつも法要の趣旨をとなえる部分があります。
 今年は、次のようなことを述べさせていただきました。

平成十三年七月二十九日 百観音献灯会 祈願のことば
 謹み敬って百観音境内の石仏諸尊に、申し上げます。
 私たちはお灯明を数限りなくお供えし、そして優美なガムランの音楽と踊りや、野外映画を見る子供達の喜ぶ姿をご覧に入れて、今年もまた、この百観音献灯会の催しを行う運びとなりました。
 この行事が始まったきっかけは、内戦や紛争のために貧困と病気と飢餓に瀕しているアフリカやアジアの子供たちが、なんとか救われてほしいと願ったことでありました。観音さまにささげるお灯明を皆さんに買っていただき、集まったお金をユニセフ協会を通じて、世界のこどものために使ってもらおうという趣旨でありました。それから二十四年間、毎年わずかづつでも、幾許かのお金を寄付し続けることができたのは、皆様のおかげと感謝しております。
 この行事が始まったころ、写真の中で空っぽのお椀を抱えて泣いていた子供がもし無事に成長したならば、もう立派な青年になっていることでしょう。どうか、そうであってほしいと切に願っています。
 最近、アジアの路上生活の子供のために幼児保育を行う日本のボランティアたちが、こう言っているそうです。
 「新聞を読んでいると、日本の子供の方がどうなっているのかと心配になってきちゃうんだよなぁ」と。確かに、池田小学校の事件や、明石の花火大会での圧死事故においても、犠牲になったのは、一番弱い子供だったというのがとても悲しいと思います。
 環境問題にしても、それは結局、将来のこどものためにとっておかねばならないきれいな空気や大地を、今の我々が先取りして汚してしまっていることに他なりません。何もできないけれども、そのことをわきまえているだけでも、大きな違いだと思います。
 そんな訳で、様々な深い意味を込めて世界や日本のこどもたちのしあわせな未来のために祈ることを、やはりこつこつと続けてまいりたいと思います。
 同時に、東京の子どもたち、我々の身近にいる地域の子どもたちも、みんな病気や事故に会うことなく、そろって健やかにこの夏が過ごせますようにと、あわせてここに祈願いたします。
 なむ観世音菩薩 一心祈願。

乃至法界平等利益


百観音明治寺 住職 草野榮應