ひとくち伝言 平成14年12月
(百三十六号)



 毎月、「ひとくち伝言板」の面には、ご覧のとおり、小学三年生がスケッチしてくれた観音さまの絵を掲載させていただいております。丸山小学校のもと三年生の皆さんには、いつも感謝させていただいております。
 毎年一月ごろでしょうか、小学生たちは「地域しらべ」の授業の一環として、
寺を訪ねてきてくれます。近所の史跡や神社仏閣などについて学び、見聞を広めることが目的なのでしょう。私は、境内の樹木の働きや、お庭に並ぶ石仏の百観音の由来を簡単に説明してから、こんなことを説明してあげています。
 「このたくさん並んでいる観音石像のなかで、たったひとつ、というか一体でも、『この観音さんのお姿、わたし大好き。出会えてよかったなあ。』と思える石像が見つかると思うんです。そういう、こころ引かれる石仏に、ひとつ
だけ巡り合ってくださいね。そしたら、そのやさしいお顔をじーっと見つめて、
その顔を真似すると、きっとしあわせになると思うよ」なんていうと、彼らはしばらく行ったり来たりしたのち、それぞれに興味をおぼえた観音さまを、けんめいにスケッチしてくれるのであります。
 子供の描く線は魅力的です。彼らはこのように活き活きとした眼を以て世界とかかわることができるのかと、感心します。観音様は「慈悲の眼をもって衆生を見そなわしたもう」菩薩でありますが、そのお姿を、彼らはくもりない眼をもって、じーっと見つめているんですね。えらい。
 案外男の子たちは、馬頭観音のように勇ましい顔をした石仏が好きで、それ
を力強い線で描きあげた絵が多いのです。また、女の子が必ず見逃さないのは、
赤ちゃんを抱いた観音様、慈母観音ですが、それをとても優しいタッチで描くんですね。また作品の中には、小さくつづまって宙に浮いてしまっているようなのもあって、でもそれはそれで、いい味わいがあるのです。「これも、あれもいいし、みんないいじゃないか」と、いつも悩みながら選んでいるのです。 観音さまの中には、剣印、つまり拳から人差し指と中指を延ばした手の形を示す石像があります。ある子どもは、その前で「ピース、ピース!」とやっているし、他の子は「ジャンケンポン」を延々と続けておるのです。別のところでは三、四人の男の子が、インディアンのやるようなダンス(?)を始めました。見ると「ハイ、ハイ、なむ!」とかいう囃し言葉に乗りながら、一体ずつのお参り踊りに打ち興じているのでした。その屈託のない表情を見ると、なんだか日本の将来は明るそうだなあと、思えてくるのです。子どもたちが、誠に
ゆたかな外界とのかかわり方ができることに、脱帽、いや感銘しました。
(榮)












  ひとくち伝言板  

明治寺;〒165-0025 東京都中野区沼袋2-28-20



平成14年12月の行事ご案内



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百観音明治寺 草野榮應