ひとくち伝言 



平成九年二月(77号)



 昔,学校の先生から言われて、今でも印象に残っている一言というものがあるものです。ある方は、小学校の校庭の落ち葉を掃いている時,
 「落ち葉というものは、完全に掃いてしまうのではなく、何枚かをぱらりと残しておくものだよ。」と、ある先生に教えられて、それを何十年も覚えているとおっしゃいました。また、ある友人は、
 「高校の先生が『どんなに味気ないと思える人間でもだね、煮干しと同じで、よく噛みしめると味があるもんなんだよ。』と言ってくれた、その先生自身が本当に煮干しみたいな先生だったんで、何だか妙に納得してしまったのを覚えているなあ。」と、語ってくれたことがありました。

 私はというと、中学一年の時に数学の先生から言われたこの言葉が妙に心に残っているんです。それは、ある時私が黒板に書いた数学の問題の解を先生が評して言われた言葉です。
 「草野,お前のはな、結果は間違っていない、しかし、目的へたどり着くまでうろうろとさんざん回り道をして、やっとたどり着いたような答えの出し方だな。数学とは最短距離で答えを出すものだ」。その言葉をいつまでも覚えているということは、「私のことを言い当てられた」という思いがあるからだと思います。でも私はいつの頃からか、もしも迷わずに行けば知ることのできなかったことを、迷うことによって一層広く知ることができるということを思い知るようになりました。要するに今も相変わらず迷い続けていることに居直っている、そういうことですけれども…。

 昔の小学校時代の教え子が、亡き師を偲ぶ思い出を話しておられました。
 「先生は、『涙で絵を描いた人がいたんだよ』とおっしゃったのを覚えております。それを思い出したのは、五十年後のことで、ある時私は涙を二粒こぽしましたところ、それがしみを作って絵のようになりました。それを見て、その言葉が思い出されたのです。そして、『そう、涙でも絵をかけるんだわ」って、つぷやいておりました。」
 もしも最初に先生の言われた言葉が,「雪舟は涙で絵を描いた」だったら、それはただの知識で柊わっていたかも知れません。そうではなくて、「涙で絵を描いた人がいたんだよ。」だったのです。それがその方の心の中で、「涙で絵を描けるんだわ」になってゆく、その間に五十年の人生があった訳です。言葉って、おもしろいものですね。渋くて美しい人生模様という絵を見せていただいたような思いがしました。

(栄)












   ひとくち伝言板    東京都中野区沼袋2−28−20
百観音明治寺 草野榮應




 二月の行事ご案内

  二月三日(月) 午後二時より   百観音節分会


     ◎歳男歳女  厄払い申込み・受け付け中 (金一万円也)
     ◎星祭り  護摩ふだ、肌守り 申込み・受け付け中 (金三千円/ニ千円/五百円也)

 * 子供たちが喜ぶ「撒きもの」のご奉納も、ありがたくお受けします。

二月六日(木)午後一時半より法話の会
二月九日(日)午前九時より写経の会
二月十七日(月)午後一時より百観音縁日法要
二月十二、二六日(水)午後六時半より坐禅の会
二月九、十六日(日)午後四時より「阿字観」入門(英語版)
二月二三日(日)午前九時より同 上



※ 目下、節分の準備に忙しい毎日を送っております。
 肌守りに記すご年齢は、数え歳が原則になっております。数え方ほ、その歳の誕生日が来た時の満年齢プラス一です。大抵の場合は、満年齢よりニつ大きくなってしまい、「大台」が近い方には微妙な問題となるわけですが、
「本当はこれよりニつも若いんだ」と思って、安心していただければと思います。

※ 中野区報に掲載されたそうですが、区内で最も空気のきれいな道は、密蔵院と百観音の間の道なのだそうです。緑が多くて交通量が少なく、しかも人口密度が低いという条件によるものと思いますが、とてもうれしい情報でした。観音さんやご先祖さまが一生懸命清めて下さっているのだとも言えるかと思います。

※ もうひとつ区報に紹介されたのは、棟方志巧さんが昔この百観音をよく訪れ、その当時寺で発行していた雑誌「沙羅の集さらのつどい)」の表紙の為に、自ら彫られた版木を寄贈してくれたというお話でした。昭和二四年からニ六年前役の頃、焼け跡の百観音を守った昌悦尼や先代の住職は、新しい時代の仏教にならなければと意気に燃えて、子供会や若い人々を集めて活動をしておりました。その季刊誌は本当に自分の言葉で心の問題を語り、問いかけて行こうという思いの漲る、ガリ版の力作です。そういうものがあったということを広報誌に取り上げてもらえたことを、うれしく思っています。その当時、 一緒に苦心して支えてくださった方々にご報告し、感謝を申し上げたく存じます。
 でも、これをただの遺産で終わらせたくはないと、確かに思います。

※ 「ひとくち伝言」の切手代ご寄付を次の方からいただきました。ありがとうございます。(記入漏れがありましたら、お許しください。)
  森佐世子様、大久保さかえ様、相原信夫様、宇治正敏様、青柳妙子様、
  福島きよ子様、山崎久美子様、牧原滋様、榎戸京子様、辻野眉子様

※ なお、未使用・書き損じの官製はがきや、使用済テレホンカードなども、次々に頂戴し、ありがとうございます。中野区盲人福祉協会から感謝されていることお伝えします。


 では、どうぞインフルエンザにお気をつけください。

合掌敬具