ひとくち伝言     平成10年5月(90号)





 仏教のことを勉強するのによい本はありませんかと、時々尋ねられます。そんな時、たとえばティク・ナット・ハン師の「般若心経」とか、小松庸祐師の「ほとけさまの物語散歩」、大西良慶師の「ゆっくりしいや」など、思いつくままに挙げてみましたが、今日は増谷文雄師の「仏教百話」(ちくま文庫)を思い出しております。
 この本は、お釈迦様ご自身の興味深いエピソードが沢山取り上げられております。当時は種々の教団が割拠していたので、お釈迦様もしばしば論戦に出会うこともあったし、時にはいわれのない罵●●謗の矢面に立たされることもあったようです。これもその一場面ですが、一人の婆羅門(バラモン教の神官)が、同族が釈尊の元へ出家してしまったので面目を失い、色をなして怒鳴り込んできたのでした。お釈迦さまはしばらく黙ってそれをお聞きになり、やがて頃合いを見て言われました。
「ところで婆羅門よ。そなたの家にも、時には客人の来訪があろう。」
「勿論だ。ゴータマよ。」
「婆羅門よ、その時には御馳走をすることもあろう。」
「勿論だとも、ゴータマよ。」
「その時、客人が食事に手を付けなかったならば、それは誰のものか。」
「客人が手を付けなければ、それはまた私のものとなる他はない。」
「婆羅門よ。今日、そなたは私の前に色々と悪しき言葉を並べたが、私はそれを頂戴しない。もし私が罵り返したならば、それは主と客が食事を共にしたことになるが、私は手を付けずにきれいに残しておいたからね。」
婆羅門は降参して、弟子になってしまいました。
 ここでは相手の論理に従って相手を窮地に追い込む論法が用いられています。これは現在でも大変有効な論争の技術ですが、それをお釈迦様はちゃんと身につけておられたことがわかります。また、御馳走の話題を出したことは、「家を持たず、托鉢に頼る者にはできぬ事だろう」という優越感を持たせ、相手に隙を作ったと思われます。これは刑事コロンボもよく使う手ですね。そして、あらかじめ「勿論だ」で答える問いをたたみかけておく、これだってなかなかのものであります。
 しかし最も大切なのは、怒りに狂っている人を目の前にしても冷静に相手の心を見抜く洞察の力だったのではないかと思います。それと、パワーゲームには乗らない断固とした勇気。これは学びたいと思います。

(榮)












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平成10年5月の行事ご案内

5月 6日(水)  午後1時半より  法話の会
5月 17日(日) 午後1時より  百観音月例法要と法話
5月 10日(日) 午後4時より  英語版・阿字観入門(第2日曜)
5月 13日・27日 午後6時半より 坐禅の会
5月 20日(水) 益子・西明寺参拝と陶芸入門



※5月20日(水)
益子・西明寺参拝と陶芸を楽しむ会(日帰り)

5月は、写経の会の代わりに、日帰りの参拝と旅行を楽しむ行事を行っています。西明寺の閻魔さま、浜田庄司先生ゆかりの益子参考館も、楽しみです。
・日時 5月20日(水)午前8時出発
・集合時間 午前7時45分 ・集合場所 百観音明治寺
・コース 西明寺〜益子参考館〜陶芸工房〜明治寺(解散午後7時を希望)
・募集人数 マイクロバスに乗れる人数(20人程度)まで
・基本費用 約6500円程度
 交通費(15人の場合4000円)、拝観料800円、昼食代1500円として算定
 但し、西明寺お賽銭、陶芸費用(多分2〜3000円)等、詳細は未定です。
・申込み 一応5月15日までとさせていただきます。(電話で可)

※4月8日の花まつりコンサート、ご協力ありがとうございました。
 当日は悪天候にも係わらず、いつになく大勢の方が聴きに来て下さいまして、バイオリンやソプラノとのアンサンブルも好評のようでした。大勢のご協力を頂いたお陰で今年もCYRに13万円位の収益が出たようです。篤くお礼申し上げます。
 カンボジアの女性が製作した絹織物のスカーフも評判で、すぐに売り切れとなりました。多分CYRは、献灯会にも出店を出してくれると思います。

※最終的に戴きました、花まつりコンサートご協賛芳名録です。
田畑嘉子様、中間芳子様、荒瀬久夫様、青柳妙子様、宇治正敏様、福島二三様、牧原俊子様、赤松由里様、谷原光枝様、飯田重平様、草野欣也様、松本善子様、松本重夫様、清水わか子様、小石知香子様、笠木千束様、小山カズ様、白石博子様、佐藤蕃様、魚田順子様、渋谷悦子様、仲野達司様、牧原妙子様、澤崎茉莉子様、清水美沙様、光野裕子様、改めて、感謝いたします。合掌

※5月12日と13日の2日にわたり、「永代供養墓」セミナーというのが、四谷の弘済会館で行われます。これはジャーナリストの井上治代さんと、雑誌「SOGI」の編集長碑文谷創さんの呼びかけで、「永代供養墓」あるいは「合祀墓」の運営のあり方を考えてゆくための、パネル討議と講演の催しです。
 これに私、草野も百観音多宝塔の紹介をするため、パネラーとして参加することになりました。ほかの有名な「もやいの碑」「安穏廟」などと違い、百観音多宝塔はまだ歴史も浅く、規模も小さいものですが、発足してから色々なことを学ばせていただいています。そのひとつは、「義務としての供養」は暗くなるけれど、「供養したいから行う供養」はとても「癒し」に満ち、「分かち合い」があり、景色が明るくなってゆくということです。利用者が「私ができるうちは、ご供養させていただきます」と安心して言っていると、次世代の人たちがその明るい顔を見ていて「やっぱり、私たちもやっていきたい」と、自然につながってゆく、供養というのはそうやって続いてきたものなのだろうと思います。