ひとくち伝言     平成10年6月(91号)





 ひき続き、増谷文雄先生の「仏教百話」から、印象的なエピソードを引用させていただきます。なお、功徳という言葉が出てきますが、これは善い行いの結果として報いられるしあわせの種ということです。仏教文化の色濃い地域では、親切をしてあげた人の方が「ありがとう」と言うそうです。なぜなら功徳を積ませてくれたからなのです。
 さて、釈尊(お釈迦さま)のお弟子の中に、アヌルッダという目の見えない人がおりました。彼はある時、衣のほころびをつくろうために、「どなたか幸いを求めたい方、私のために、針に糸を通し、功徳を積んで下さらんかな」と言って、手を貸してくれる人をさがしておりました。すると、誰かが近づいてきて、「わたしが功徳を積ませてもらおう」と、申し出た人がありました。その声は、まぎれもなく釈尊でした。彼はうろたえ、恐れ入ってしまいました。「手を貸して、功徳を積んでおくれと言ったのは、お釈迦さまとは知らずに申し出たことです、そんな恐れ多いことはご容赦を…」と辞退しようとしました。すると釈尊は言われました。「アヌルッダよ、世間の幸いを求める人、またわたしにまさる者はあるまい」。しかしアヌルッダはなおも尋ねます。「お釈迦さま、あなたはすでに迷いの海を渡り、愛着の沼を脱して、もうこれ以上お求めになるものはないはずです。なのに、いままた、何ゆえに、幸いを求めるとおっしゃるのですか。」
 そこで釈尊は、究極の境地を究めた者さえも、例えば布施や忍辱もこれでよいということがなく、真理の追究に終わりはない。幸いの追求もまた終わりというものがないのだ、と説かれたのでした。
 お釈迦さまの悟りの境地とは、自他の区別のない世界のことですから、その「幸い」とは自分ひとりのことを言っているのではありません。広く世間の幸いを願っていたのであり、あるいは何よりも、この目の前にいるお弟子の幸いを願っていたに違いありません。二千六百年も前のこのエピソードが今に伝えられる限り、お釈迦様は世の幸いを願い続けてこられたのだと、信じたい気がします。
 インドが核実験をしたとテレビが報じました。あのお釈迦様が生まれた国なのにどうしたことだろうと、ショックでありました。でも、だからこそ、世のさいわいを求めることに限りはないと言われた釈尊の言葉は、必要な言葉なのかもしれません、人間に絶望しないために…。

(榮)












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平成10年6月の行事ご案内

6月 6日(土)  午後1時半より  法話の会
6月 7日(日)  午後9時より  写経の会
6月 17日(水) 午後1時より  百観音月例法要と法話
6月 14日(日) 午後4時より  英語版・阿字観入門(第2日曜)
5月 10日・24日 午後6時半より 坐禅の会



※ 7月26日(日)午後6時より
百観音献灯会どうぞよろしく

 境内の観音石仏に一千個のお灯明をあげて供養し、ガムラン音楽や野外映画を楽しむこの行事も、ますます町ぐるみのイベントとなってきました。去年は、沼袋の商店街の中にも「献灯会相乗り出店」が出現し、通りをガムランとちんどん屋の混成隊が練り歩くという騒ぎでした。この行事も、毎年同じことをやろうとしても、絶対同じようには行かないところに、なかなか奥の深いものがあります。
 今年もどうぞ、大勢のご参加とご協力をお願い申し上げます。

※ 5月20日の益子行きは、楽しい小旅行となりました。篠原陶器店さんのお骨折りで、西明寺のお参りをはじめ、手びねり、益子参考館見学と、どちらでも大変親切なお持てなしをしていただきました。作品が出来上がってくるのが楽しみです。

※ 花崎哲さんから、桜映画社が制作した35ミリ映画のフィルムを100本近く、寄贈を受けました。「注文の多い料理店」「おこんじょうるり」などの傑作アニメーションを初め、一連の歌舞伎シリーズ、「秩父夜祭」、「和菓子」などの芸術的なもの、他に医学物、自然の記録映画など、珠玉の作品がたくさんあります。
 追々、ご紹介できる機械があればと思っています。只今映写機修理中。

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◎ ジャワガムラン体験講座
日時:6月18日(木)昼の部;午後3時〜4時半/夜の部;7時〜8時半
会場:なかのZERO視聴覚ホール(地下2階)
参加費:1800円(小学生は1000円)ただし30名まで
申込み・問い合わせ先:電話/Fax 03-5300-6361 ランバンサリ事務局まで
献灯会に毎度お世話になっているランバンサリが、「こんなに面白いガムラン、聴いてるだけじゃもったいない」と言ってます。音楽を体験する楽しさを味わいたい方、ぜひおすすめいたします。

◎ ハーバード大学男声アカペラコーラスグループ「クロコディロス」コンサート
日時:6月22日午後6時会場・7時開演
会場:川越市民会館 やまぶきホール 入場料:3000円
問い合わせ先:小江戸川越童謡の会 0492-43-8132(長谷川)/42-4182(長田)他
無伴奏のしゃれたコーラスで、ダニーボーイ、ラバー・カムバック・トゥミー、サマータイムなどのスタンダードナンバーを、パフォーマンスたっぷりに聴かせてくれそうです。(鶴ヶ島市の杉本さんからの情報です)