ひとくち伝言 平成11年1月



慧日破諸闇 謹賀新年
平成十一(己卯)年元旦


 平素のご厚誼を感謝し、新年のご挨拶を申し上げます。今年も、皆々様のお門には大慈大悲の限りない光が射し込みますよう、ご祈念申し上げます。

 日本には、食事のはじめには両手を合わせて「いただきます」と言い、食べ終わると「御馳走さまでした」と手を合わせる作法があります。その作法はまことに簡素で美しく、祖先から伝えられたすばらしい遺産の一つだと思います。
 「いただく」とは頭の上に載せることですが、尊い物を自分の身に余るものとして頭の上に載せるという意味から、感謝の気持ちが込められます。では、その感謝とは何に対する感謝なのでしょうか。
 まずは、その食事を作ってくれた人への感謝ということがあるでしょう。また、一家の生計を支えてくれている人への感謝もあるでしょうか。しかしそればかりではなく、肉や魚など、犠牲になってくれた動物への感謝も当然あります。ならば野菜穀物だって命を犠牲にしていることには変わりないのですから、米の一粒にも感謝が捧げられてよいでしょう。
 例えば、一杯のきつねうどんをいただくところを思い浮かべてください。そのうどんが出てくるまでには、どれだけの人や命のおかげになっているかを考えてみましょう。まず、材料となる食べ物の命があり、作物を作る人、うどん粉を作る人にうどんを打つ人、材料を買ってきて、料理してくれる人があります。鰹を釣る人に鰹節を作る人、油や醤油をつくる人、油あげを、薬味のねぎをつくる人、箸やどんぶりを作る人、物を運ぶ人、運ぶ車や船を造る人、道具や設備を作る人、水道、ガス、電気を引く人、作物を実らせる水、土、太陽、海に空に雲…、数えあげたらきりがありません。お正月のゲームに、どれだけ思いつくかをご家族で競ってみてはいかがでしょうか。
多分、百や二百は楽に思いつくでしょう。
 中には割り箸の袋を貼る糊を作る人を挙げた人もありました。また、お腹をすかして待つ人がなければ料理をする人もないのですから、食べる本人の存在もまた、きつねうどんの完成に貢献していると主張する人もありました。そうなれば、その人のご先祖もまた大切となる…。あ、また、切りがなくなってしまいそうです。
 「いただきます」に込められる感謝とは、本人を含む世界のすべてに向けられていると、私は思います。たった一杯のきつねうどんさえ、とんでもなく大きな世界にまでつながっています。あまり大きくて何に向かって感謝してよいかわからないから、神様仏様に向かって感謝するのです。
 四国遍路の先達をなさっておられた藤村秀覚さんから教わった食事作法の言葉を、ご紹介いたします。
「一粒の米にも万人の苦労を思い、
 一滴の水にも天地の恩徳を感謝してたてまつる。いただきます。」
「今すでに、ありがたき食を受け、力身に満つ。
 願わくは身を養い、心を修め、報恩の道にいそしまむ。
 ごちそうさまでした。」
 身近なところから、限りない福分をお受けくださって、どうぞおすこやかな一年をお過ごしくださいませ。  合 掌

百観音明治寺 住職 草野榮應












   ひとくち伝言板   

[ 郵便番号は 165-0025 ]



平成11年の行事ご案内

  • 1月1日 (金) 修正会(元朝護摩供)
  • 1月17日(日) 初観音大護摩供養 ならびに 開基 榮照法尼 忌
  • 2月3日(水) 節分祭・星まつり(午後二時より)
  • 2月15日 (月) 常楽会(釈尊命日・涅槃会)
  • 2月17日 (水) 月例祭
  • 3月17日(水) 春彼岸 大施餓鬼会
  • 4月8日 (木) 降誕祭(花まつり) (予定 花まつりコンサート・チェンバロの夕べ)
  • 4月17日 (土) 月例祭 ならびに 開山 密信大和上 忌
  • 5月17日 (月) 月例祭
  • 6月17日 (木) 月例祭(七月初旬より お盆の棚経)
  • 7月17日(土) 盂蘭盆 大施餓鬼会
  • 7月25日(日) 予定 百観音献灯会(夕方六時より)
  • 8月17日 (火) 月例祭
  • 9月17日(金) 秋彼岸 大施餓鬼会
  • 10月17日 (日) 月例祭
  • 11月17日(水) 月例大祭 大護摩供 ならびに 境内石仏総供養
  • 12月17日 (金) 月例祭(納めの百観音法要)
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その他の月例行事
 (日時等変更になることもありますので、ご確認下さい。)
第一日曜日   午前九時より 写経の会(小筆一本お持ちになれば結構です)
 *一月のみ第二日曜日(1月10日)となります。*

毎月六日    午後一時半  法話の会(肩の凝らない法話のつどい)
第二・四水曜日 午後六時半  坐禅の会(静かに坐りを味わう坐禅です。)




東京都中野区沼袋二ノニ八ノ二〇
百観音明治寺 草野榮應