ひとくち伝言 平成27年1月
忘己利他
平 成 二 十 七 乙 未 年 正 月
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。過ぎし年を省み、新たな年の目標を定めるこの節目に、皆さまはどのような抱負をお持ちでございましょうか。
物事の初めには多くの方が目標や決意を固めることと思いますが、天台宗の開祖、最澄さまもやはり、比叡山をお開きになった際に決意表明をなさいました。その文言の中には、開山にも関わらず「もうこりた」というお言葉が……。一体なにに懲りたのかと思いきや、「忘己利他(もうこりた)」でございました。「自分のことは忘れて人のために尽くす」という意味で、その慈悲の心が、ひいては一隅(いちぐう)、つまり自分の居場所を照らすのだそうです。
しかし、自分を忘れるとは、具体的にはどういうことなのでしょうか。最澄さまに詳しく伺うことはとても叶いませんけれども、この疑問に、十九世紀の精神科医、アルフレッド・アドラーならばこう答えるかも知れません。
「評価されることを忘れなさい」と。
フロイトやユングと並んで心理学の三代巨匠と称されるアドラーは、人の悩みはすべて人間関係から生まれると主張しました。そして、人が幸せになるには世のため人のために貢献することが必要だと説くのですが、決して人からの評価を気にしたり、期待に応えようとしてはいけない、と言うのです。
人間、褒められれば悪い気はしませんが、そればかりを求めるようになると、時には自分が嫌なことも我慢しなけりゃいけません。評価が下がれば不安になりますし、本当の自分とズレが生じてしまうこともあるでしょう。それに、「人にどう思われるか」を気にすると、結局、自分のことばかり考えているのと一緒になってしまいます。人がどう判断するかなんて、自分が決められることではないのに。できないことをしようとするから悩んでしまうというわけです。
評価から自由になり、自分や人の良い部分も悪い部分も誤魔化すことなく、「ありのまま」を好きになる秘訣は、人を思いやり貢献すること。このアドラーの説は、まるでよくできたおとぎ話のようですが、その昔、この理論を実践し、実証なさった方がいらっしゃいました。お釈迦さまです。
そもそもお釈迦さまは、出家をなさる前は王子さまでしたので、欲しいものはなんでも手に入りました。しかし、自分の欲望をいくら満たしても幸せは感じられず、苦悩の果てに慈悲、つまり人への貢献が必要だという結論にたどり着かれたのですね。悟りを「自分のありのままの心を知ること」とする真言宗の開祖、空海さまは、お釈迦さまの教えについてこんな風に仰っています。
「お釈迦さまの教えは広く、限りないが、一言で言えば自利(じり)と利他(りた)に尽きる。他人を救うことが自分の幸せに繋がるのだ。」
つまり、他(た)を利(り)することによって、自分が満ちたりる、というわけです。一年の始まりに、幸せに関する先人たちの智恵を、どうぞご参考になさってくださいませ。
草野榮雅 拝
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平成二十七年 行事ご案内
一月一日(木) 修 正 会(しゅしょう え )(元旦護摩供養・祈祷) 一日~三日 午後二時より護摩祈祷
一月十七日(土) 初観音大護摩供ならびに開基榮照法尼祥月忌
二月三日(火) 節分会 星祭 午後二時より法要 豆撒き
二月十七日(火) 観音経読誦会(月例法要)
三月十七日(火) 春彼岸 大施餓鬼会
四月五日(日) 花まつりコンサート
四月八日(水) 釈迦降誕(ごうたん)会(え)(花まつり)
四月十七日(金) 観音経読誦会 ならびに開山密信和上祥月忌
四月二十九日(水・昭和の日) 慈音会法要・多宝塔供養祭
五月十一日~十二日(月~火)高野山参拝旅行
五月十七日(日) 観音経読誦会(護摩供養)
六月十七日(水) 観音経読誦会
七月十七日(金) 盂蘭盆 大施餓鬼会
七月二十六日(日) 百観音献灯会 夕方六時より
八月十七日(月) 観音経読誦会
九月十七日(木) 秋彼岸 大施餓鬼会
十月十七日(土) 観音経読誦会
十一月十七日(火) 境内石仏総供養大護摩供
十二月十七日(木) 観音経読誦会(納めの百観音法要)
※ 月例の行事、及び旅行の詳細については裏面をご覧ください
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毎月十七日の法要はすべて午後一時からです (どなたでも御参加いただけます)
● 毎月十七日 観音経読誦会(月例法要)
毎月午後一時より、太鼓の音に合わせて妙法蓮華経観音経と般若心経をご一緒にお唱えいたします。法話の後は軽食と茶話会をお楽しみください。どなたでもご参加いただけます。
正月、五月、十一月は護摩法要、三月、七月、九月は施餓鬼法要を併せて修行いたします。
● 毎月第一日曜日ならびに翌日の月曜日
午前九時より 写経の会 (小筆と納経料をご用意ください)
一月も第一日曜日の四日と五日です。二月は節分のため、第二週の八日と九日に変更いたします。
● 毎月第二金曜日 午後一時より習字教室
参加ご希望の方はどうぞお問い合わせください。
● 毎月第二土曜日の午前九時より坐禅の会(4月より)
ゆったりした服装でお越しください。参加料 五百円。